最近、京都市内の居酒屋さんによく行くようになりました。チェーン店ではなく、和食っぽい居酒屋でもなく、居酒屋さんと呼びたくなるような、うまい料理と、ご主人や女将さんが笑顔で迎え入れてくれるようなところへ。

“とりあえずビールください”と、お品書きを見ていると、生ビールとつきだしが運ばれてくる。そうすると、“ささ一口どうぞ”って感じの間があって、“今日は何しときましょ?”って声がかかる。

この“今日は”が大切なんですよね。

接客の妙というか、上手さですね。この“今日は”には、“いつもありがとうございます。また来てくれましたね”って意味合いも含まれていて、通り一遍のいらっしゃいではなく、“あっ、いらっしゃい”の“あっ”にも、“あなたの顔、覚えていますよ”っていうメッセージが含まれていると思うんです。

ここ最近、よく行く居酒屋さんは、本日の逸品以外は、他店と変わりがないのですが、丁寧に調理されているような感じで、本日の逸品のいくつかを注文すると、一番いいところを出してくれているのが分かる。もちろん、これはボクにだけ特別に出してくれているのではなく、“本日の逸品は、うちの看板ですから、これで感じ取って下さい”というストレートで、素直な気持ちなんだと思います。

京都には、うまい料理を出す居酒屋さんがたくさんある。

それは、京料理や日本料理という伝統を踏襲したものではなく、これが“街の日常”という底力を感じさせる、さすが京都と言いたくなる瞬間です。