節分に恵方巻き、京都の割烹に穴子の太巻き

節分より少し前、一月の終わりに、京都の割烹へ向かいました。板長(料理長のこと)さんとは、ボクの知人が修行していた日本料理店で顔見知りとなり、今はそのお店の支店の責任者という立場です。

彼が20歳の時に知り合い、それから10数年が経ち、若手ではありますが、しっかりした仕事をすると評判の料理人となりました。

一般的に京料理なんて言われますが、実際のところ特徴的な何かがあるわけではありません。とてもベーシックな手法、伝統的な技法をそのまま伝えているという感じ。薄味であると言われるのは、素材を生かした調理が基本であるからで、その意味合いから大切にされているのが、“季節感”というエッセンスです。

今では全国的な行事として親しまれている「恵方巻き」という太巻きは、関西では慣習として伝えられているものです。コンビニが予約を受け付けるなど、ここ数年はブーム的な感じで季節の風物詩としてニュースで紹介されていますが、地元の京都でも節分には当たり前のように太巻きを食べてきました。

割烹で出される料理の中で、“八寸”というものがあり、西洋料理で言うところの前菜盛り合わせというところです。旬の野菜や魚を調理し、お皿やカゴに盛り込んで季節感を表現することで、見た目と味わいで季節を感じさせる趣向です。

先日、この八寸の中に、穴子と湯通ししたセリとイクラが入った太巻きが盛り込んでありました。節分前だったので、季節感を表現する一品として添えられたもので、これで「もうすぐ節分ですね」というような会話が交わされるわけなんです。

ここまでなら、京都の割烹ではよく見かけることなんですが、後日、ランチに出掛けたカフェでも、なんと恵方巻きが出てきました。メインがパスタというランチコースの前菜盛り合わせの中の一つとして、生ハムや細切り野菜の海苔巻きが入っていました。

そのことを質問してみると、やはり恵方巻きを意識して考えた献立ということで、ちょっとした遊び心で楽しませてくれるあたり、同行した女性たちがとても喜んでいたのを見ていて、この感覚こそ飲食店の経営に必要なんです。

十分な利益を出すことができるほどの飲食店というのは、お客さん、特に女性を喜ばせる術を知っていて、それがあるから口コミでお店の存在が知られるようになるんですね。

女性はお喋りなんて言われますが、話したくなるようなネタを発信できる、このちょっとしたことに気付いているからこそ、利益に結び付くわけなんです。

だから、“経営とは、お客さんを喜ばせること”という感覚になっていくんでしょうね。