ボクが、自分のお店として最後に作ったのは、約20畳ほどの広さのカフェ。L字になった空間は、何かと制約が多かったけれど、出来上がってみたら、とても居心地のいい、使い勝手のいいお店で、いろんなことを試して、大いに楽しめた。それは、お客さんも同じだったと思う。
施工業者さんは厳選した方がいい
ただ、施工業者さんとのやり取りは、とても大変だった。こちらが無理を言っているわけでなく、作業動線などを細かく説明しても、仕事の段取りがあるからできないと、繰り返し言われるうち、このお店の営業がスタートする前に気持ちが後ろ向きになると、何度となく感じた。言い方に問題があったのなら反省すべき点があるけれど、そんなことはなく、作業動線は利益と直結しているのだから当然のこと。
施工業者さんにしてみれば、その現場が終わって支払いさえあれば問題ないのだろうが、発注したこちらとしては、設計事務所さんが選んだ施工業者さんだとしても、現場での対応はプロとして受けるべきであって、仕上がった後から、その場所で経営するボクからしてみれば、自分の納得いく形で作り上げたいと思っても何ら不思議ではない。
その後は、飲食店などをプロデュースする仕事をするようになったわけですが、設計事務所さんと施工業者さんの選定には、十分な時間を掛け、納得できなければ、また、少しでも何かを感じれば、発注しないと決めている。
初めて経営する、飲食で起業するなら
初めて経営するなら、“小さなサイズのテナントを探し、料理や商品を絞り、一目で何を売っている飲食店か?”を屋号、外観や看板から分かるように十分に考えて、この点だけはしっかりと設計者さんに伝えること。
ここが中途半端だと、間違いなく後になって、営業を初めて半年ほど立つと必ず困ることになる。オープンから半年は、友人や知人、道行く人達、オープンのチラシなどで集客できるけれど、その後はパッタリと客足が途絶えてしまうことがある。これは、“何を売っている飲食店か”が明確になっていないことで、多くの飲食店の中に埋もれてしまったから。こんなことで閉店していくお店が、どれほど多いことか。
この点、小さなスペースだと、できることが限られてくるから、看板料理や看板商品を絞り込むしかなく、これがお客さんの印象に残りやすく、限られてしまうと思っていたことが、逆に有利に働くことが実感できるはず。だから、看板料理や看板商品がなかなか決まらずとも焦ることなく、徹底して考え抜くことが、その後の経営を左右すると思って間違いないのです。